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      研究開発リーダーの参考書09

      既存市場が存在する場合の「ヒット商品コンセプト」を生み出すには

         新製品を開発する場合、これから開発しようとしている製品の
        「市場の動向(価格動向含む)」「技術の動向」などを議論したうえで
        「商品コンセプト」を決めるのが一般的なやり方です。

         ヒット商品を世に出すのが難しいと言われていることは
        「そのとおり」ですが、コンセプト自体を作るのは難しくありません。
        従来の予想に反する「価格破壊」の新製品を投入することによって
        (といっても従来品の70%程度で十分ですが・・・)、
        一挙にシェアをとることです。

        ただし、ここで言っている価格は発売時期の他社製品の価格に比べて
        という意味ですから、お間違えのないように。
        (大抵の場合、この読みが外れて月並みな商品になってしまうのが通常です)

        ちょっとくどいですが、市場価格が年率10%づつ下がっている
        ジャンルの製品を3年先に発売すると想定しましょう。
        単純な計算で、
        現在の市場価格×0.9×0.9×0.9×0.7=現在の市場価格×0.51=目標価格

        すなわち、現在の市場価格の1/2以下を実現できるコストの商品を、
        3年間で開発すればいいということを意味しています。
        もちろん、発売予定である3年後の世の中の商品スペックを
        満足していなければなりませんし、新しい顧客層を誘いこめる
        商品スペックでなければなりません。

        たった3年でコスト1/2以下を目指すわけですから、
        従来どおりのパーツを使って製品を構築したのでは実現できないことが
        明々白々です。
        重要なことは技術動向の読みで、それをどのように盛り込んでいくかが、
        開発リーダーである「あなた」の腕の見せ所です。

         三つのアプローチをお話しましょう。

        第一は、材料の変更です。
        例えば、金属部品をプラスチックに変更することによって、
        部品点数を大幅に削減するというようなことです。
        このようなことを実現するための開発リーダーは、自社の研究開発部門の
        動向はもちろんのこと、世の中の材料開発の動向をしっかりと掴んで、
        的確な判断を下せるよう精進しておかなければなりません。

        第二は、製造工程を大幅に削減できる方法に変更することです。
        例えば真空蒸着で製品の表面に付けていた薄膜を、
        塗装方式に変更するというようなことです。
        このためにも、常日頃から自分の担当している製品の隅々まで
        熟知しておいて、ショーの見学に行っても、業種の異なる工場を見学しても、
        自分の担当している製品の「あの部分」に使えるのではないかということを
        考え続けなければなりません。

        最後に、製品の制御方式は常に最新のものにしておかなければなりません。
        マイコンという言葉さえ古くなってきた今日この頃ですが、
        製品の基本的な制御はもちろんのこと、ICの中に入っているソフト変更に
        よって製品のスペックまで変えることが可能な時代ですから、
        装置の制御の電気回路は電気屋さんのやる仕事だなどと言っているようでは、
        開発リーダーの責務をまっとうできません。
        さらに、生産数量(販売数量)にもよりますが、ある程度まとまると、
        専用ICを使った方がはるかに安く・品質も保証できます。

         以上のとおり、開発リーダーは自分が担当している製品スペックの
        世の中の動向はもちろんのこと、使われている材料の動向、
        製造方法(製造工程)、電子回路の進展状況等々について、
        常にアップデートしておかなければなりません。

        3要素を満足した結果として、コストが1/2になると不思議なもので、
        新しい客層も開拓されるものです。
        以上のようにコンセプトは簡単で、やり方もわかっています。
        ヒット商品を出しつづけられる開発リーダーは、人知れず努力を
        続けられる人だということがお分かりいただけたと思います。
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