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      研究開発リーダーの参考書05

      開発リーダーが経理マンと同じ知識を勉強する必要はありません

        経済活動を行って利益を出すのが企業ですから、たとえ技術者といえども
       経済性を無視して研究開発を進めてはなりません。
       だからといって、技術者がP/L(損益計算書)だの
       B/S(貸借対照表)だのという経理指標を読み取る勉強をする
       必要はないと考えています。

       技術担当者でも経理指標を読み取れと言われる時代ですから、
       開発リーダーなら当然のこととして経理指標を読み取って
       ROI(Return of Investment)について云々と講釈できなきゃ
       ならないなどという現象は間違いです。

        メーカーは製品を作って売るわけですから非常に単純で、
       「安く作って高く売れば」利益は自然と生まれてくるものです。
       この表現はラフ過ぎますので、少しだけ詳しく解説しましょう。

       売価から原価を差し引いたものを「荒利」といいます。
       売価−原価=荒利 ・・・ [1]式

       この荒利で従業員の給料や通勤費(人件費)、
       実験装置や製品の試作費用(開発費)、
       販売のための広告宣伝費(販売費)等々、
       会社でかかる全ての費用を賄います。

       そして、残ったお金が利益ということになります。
       荒利―総経費=利益 ・・・ [2]式

       だいたい以上のような仕組みになっていますので、
       開発リーダーである皆さんは上記の簡単な数式([1]&[2]式)が
       頭に入っていれば十分です。

       「安く作って高く売る」と「荒利」が大きくなります([1]式)。
       次に、出るものを減らす(総費用を少なくする=倹約する)と、
       [2]式から明らかなように「利益」が大きくなり、
       たいていの場合はこの2式で説明できます。

        ただ、会社の場合は個人の収支と若干異なることがあります。
       会社では、お金を支払って買ったものは(例えば、
       開発や生産を行うための建物や機械)、
       経理的には「お金」と同等に扱います。
       すなわち、現金を100万円持っているA社も、
       現金100万円で100万円の機械を買ったB社も、
       経理的には同等の価値を持った会社と見なします。

       さて、給料日がきたので従業員に給料を支払うと想定します。
       A社には現金がありますから給料を支払えますが、
       B社は社員に給料を払おうとしたら(100万円の機械はありますが)
       預金通帳の残高がゼロになっていますので、給料を支払うことができません。
       お金がなくなったときが「会社が潰れる」という定義ですから、
       この時点でB社は「倒産」ということになります
       (もちろん、これほど単純ではありませんが・・・)。

       皆さんは「黒字の会社だから安心ということではありませんよ」
       ということだけ分かっていれば十分でしょう。

        実は、経理は数式に則っていますので(かつ、過去のデーターの
       解析ですから)、原理原則が理解できれば難しいものではありませんが、
       技術者は経理の勉強をする暇があるのなら、開発費を抑えて原価の安い
       (or高く買ってもらえる)商品を開発するために、
       もっともっと時間を割くべきです。

        最後に、経理の専門家に怒られそうなので断っておきますが、
       経理の本当の難しさは「予測」にあります。
       技術の分野も同じで、予測することほど難しいことはありません。

                         
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