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      研究開発リーダーの参考書04

       大きな希望を持ち、大きな希望を持たせよう

        開発者に「あなたの会社の給料で満足ですか?」と質問すると、
       たいていの人は「もう少し欲しいなあ」と答えます。
       次に、「では、もっといい給料の会社を紹介しましょうか」と聞くと、
       必ず「どんな仕事をやらせてもらえますか?」とか
       「仕事を任せてもらえますか?」という質問が返ってきます。

       『 わたしは、この世の中には2種類の人間・大人しかいないと思います。・・・
       ・・・2種類の人間・大人とは、自分の好きな仕事、自分に向いている仕事で
       生活の糧を得ている人と、そうではない人のことです。』

       村上龍氏のベストセラー「13歳のハローワーク」を紹介するまでもなく、
       希望をもって生きている人達は、みんな「生きがいを感じることのできる
       仕事に就きたい」と考えています。

       開発グループのリーダーは、このことを十分に考慮しなければなりません。
       では、どのようにプロジェクトを運営すればいいのでしょう。

        アポロ計画を例にとって、考えてみましょう。

       1961年5月25日、当時のアメリカ合衆国大統領J.F.ケネディ大統領は、
       議会で歴史的な演説を行いました、その要旨は下記のとおりです。

       我々は60年代が終わるまでに、月へ行くという困難であるが故の選択をした。
       人類発展のために、我々は38万キロ彼方の月に向けロケットを打ち上げる。
       ロケットは新しい合金で作られ、精巧な時計よりさらに精密な技術で
       組み立てられる。
       人類の歴史上最も危険で最も大規模なこの冒険に、神のご加護があらんことを。

       短い演説の中で、これから行われる壮大なプロジェクトに必要なことが
       全て網羅されています。

       「60年代に月へ行く」という具体的なターゲット、
       「人類発展のため」というプロジェクトの大きな使命、
       そして「新しい合金、時計より精密な技術」という乗り越えるべき
       具体的な技術開発目標が、明確に与えられています。
       最後に「神のご加護を」と、国民の全員参加を呼びかけています。

        あなたが担当しているプロジェクトに当てはめて考えてみましょう。

       チームが取り組むべき「使命」をチーム全員で共有していますか?
       「具体的なターゲット」は、完成目標「日程付き」で明確ですか?

       ターゲットを実現するための「技術開発テーマ」は具体化されていますか?
       そして、その技術開発テーマは、チーム員それぞれの専門領域と
       能力に見合った割り振りが行われていますか?

       チーム員が暗礁に乗り上げたときのフォロー体制や、
       グループ間の進捗情況に合わせた管理体制は大丈夫ですか?

        皆さんが担当しているプロジェクトは「アポロ計画」ほどの
       壮大なプロジェクトではないかも知れませんが、
       あなたにとっても、あなたのグループにとっても
       「重要で大きな計画」のはずです。

       開発グループリーダーの皆さんは、
       開発チーム全員に、明確な「使命」と「ターゲット」を共有させ、
       具体的な技術開発テーマを設定し、それをみんなで分担し、
       情報交換を密にして進捗情況を共有することです。

       そして、開発グループリーダーであるあなたはチーム員からの
       真実の結果を聴き取り(あなたが話すのでなく聴くのですよ)、
       不足の部分をあなた自身が補ってあげれば、開発チームは自然と
       まとまってくるものです。

       以上のことを参考にして、あなたのプロジェクトを成功に導きましょう。

        さて、アポロ計画の結果は(皆さんご承知のとおりですが・・・)、
       1969年7月21日、アームストロング船長の第一歩が月の大地にしるされました。
       “That's one small step for man, one giant leap for mankind.”
       (1人の人間にとっては小さな一歩だが、人類のためには大きな飛躍である)
       という結果でしたね。

                         
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