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      研究開発リーダーの参考書19

      
会社って、サイエンスって、いったい何だろう?
           (企業の技術開発リーダーの基本姿勢を考える)


         日本語の「会社」という言葉の意味は、
        「営利事業を行う・・・人の集まり」という解釈が一般的でしょう。

        1855年、徳川幕府はパリで開かれた国際万国博覧会に使節団を送りました。
        そのときの使節団の一人「福沢諭吉」が帰国後「西洋事情」という
        本を出版しており、その本の中に「会社」という言葉がでてきます。

        会社という言葉は、英語の「カンパニー」の訳語で、源流はラテン語の
        「共に(cum)パンを食べる(panis)仲間」という
        言葉に由来しているといわれています。
        会社という訳語の発想の原点かどうかは分かりませんが、
        神社は「神の社(やしろ)に集まった村人達」と解釈できますので、
        同様の考えに基づいたのかもしれません。

        ということで、西洋事情には「商人の会社(これが現代の会社に相当?)」
        以外に、「新聞を作る会社」「学校を作る会社」「病院を作る会社」
        「宗教の会社」などが登場します。

        最近は、独立行政法人にされちゃった大学とか、
        堂々と営利事業を行っているNPOとか、病院株式会社等々、
        「会社」本来の姿に戻りつつあるのでしょうか?


         技術系のみなさんが好んで使う言葉に「サイエンス」があります。
        「サイエンス」は日本語では「科学」と訳されています。
        日本では、科学と翻訳されたがゆえに、上記「カンパニー」以上に
        「サイエンス」の解釈を狭めています。

        ブルタニカによりますと、「サイエンス」は「芸術・宗教または哲学の如く、
        絶対真理を求める人の心の動き」と説明しています。
        「知識」と訳すべきだったかもしれないという学者もいます。
        日本の技術はオリジナリティに欠けるといわれ続けてきた根本原因が
        「サイエンス」の定義に由来しているのかも知れません。


        「会社」と「サイエンス」についての原点をお話ししてみました。
        みなさんは企業の中の開発者で中核的な役割を果たしている
        「開発リーダー」ですから、以下のことに気を配って「ご自分の行動」を
        決めて欲しいと願っています。

        すなわち、「商人の集まりの一員であること」
        そして「物事の絶対真理を追究する人であること」の
        二律背反的な立場を理解した上で日々の行動をとって欲しいのです。

        仕事に取り組むときの心構えが見えてきませんか?
        開発リーダーであるみなさんは技術に対してだけではなく、
        取り組んでいるテーマそのものの真の価値や位置づけを
        考え続けなければなりません。
        と同時に、商人ですから「売ってなんぼの得や・・・
        (利益はいくら出るのか?・・・)」
        ということを、常に自問自答しなければなりません。

                         
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