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      研究開発リーダーの参考書18

      風俗習慣・文化・国民性・法律といった
            国ごとの特性の理解が必要な新製品とは


       
 新しい技術が人の生活を激変させた例はたくさんありますが、
        いま大きく世の中を変えようとしているものに「電子タグ」があます。
        新聞などによると「デジタルID(個の識別)時代」がやってきた、
        などと書かれてあります。

        電子タグ(RFID=Radio Frequency IDentification)は
        ICチップとアンテナによって構成されており、
        いろいろなモノ(例えば市販されている商品)に装着され、
        その「モノ」を識別する情報を内蔵しているものです。

         デパートに並んでいる「野菜」の「一個一個に、どこで採取された種を使って、
        どこの農場で、誰が、どのような環境条件(使った肥料や薬剤等々)で、
        育てられたものかを識別するのに電子タグが使われはじめています。

        米国では、出荷された商品が販売されるまでに、抜き取りにより
        30%がなくなると言われていいます。
        従業員の犯行や業者の不正が原因のようですが、
        電子タグを装着しておくと、紛失を常に監視できます。

        また、道路のあらゆる場所(交差点・街灯・信号機・横断歩道等々)に
        電子タグを埋め込んで配置することにより、高齢者やハンディキャップを
        持った人が、安心して移動できるバリアフリー社会が構築できます。

        このように、いままで簡単に出来なかったことが、
        この電子タグ(RFID)を使うことにより可能になります。


         トロンの開発で有名になった東京大学の坂村教授は
        以下のように話されています。

        人がどこにいてもネットワークにつながり、情報を利用できる
        「ユビキタス社会」を目指してきた。
        その実現に向けての最後の切り札が「電子タグ」だ。
        電子タグはモノと情報を結びつける接着剤。
        ユビキタス社会の実現に欠かせない。

         では、電子タグの使われ方を見てみましょう、
        これも坂村先生の受け売りですが・・・。

        「ユビキタス」の本来の意味は「神様がいつでも、ご覧になっている」
        というもので、だから行いを正しくしなさい・・・といった使い方が欧米で、
        日本では「八百万の神」で、欧米流のような畏れ多い神ではなく
        小さな神が身の回りの全てのものに宿っているというコンセプトで
        使われているように見える。

         すなわち、米国のような社会的背景を抱えたところでは、
        常時監視目的で使われているが、日本のような国では食の安全や安心・
        サービス向上といった消費者満足度向上に使われているというのです。


         開発リーダーの皆さんには、ここからが重要です。

        新コンセプト商品を世の中に導入するときは、販売地域の
        風俗習慣・文化・国民性・法律といった、国ごとの特性を徹底的に解析して、
        国情に合ったコンセプトにしなければなりません。

        今まで述べてきた、電子タグ(RFID)の例でいえば、

        欧米向は、商品が盗難にあうのを防ぐわけですから、
        そこそこのコストをかけられるという利点はありますが、
        遠くからでも信号が読み取れるように大きなアンテナと
        強い電波を発信できる電気回路が必要となります。

        一方日本向けは、もともと安価な食料品などに装着すわけですから、
        コストが第一の開発項目となります。

         新しいコンセプトの商品は、開発者・設計者の思い込みだけで
        突き進んではなりません。

        どのような社会的背景の「場」で使われるのかということを
        よく理解した上で、チームで開発すべき製品のコンセプトを
        適確な方向に導くように頑張ってください。

                         
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