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      研究開発リーダーの参考書13

      新製品開発には「パテントマップ」が不可欠


       
 ある調査会社のアンケート結果によると、企業の研究開発投資が
        企業に利益をもたらした割合は30%未満だったそうです。
        「製品化まで漕ぎ着けなかった」「製品化はできたが、利益を生むまでには
        至らなかった」等々、期待通りの結果にはなっていないようです。

        「コア技術の確立と知財戦略」の必要性が強調されて久しいのですが、
        30%未満という数値は何を意味するのでしょうか?

         新製品開発を担当している方には、既にお分かりのことだと思いますが、
        大半の新製品は、新・旧技術の組み合わせで成り立っています。
        また、この重要な部品は○○社製ですというように、社内の技術と
        社外の技術の組み合わせで成り立っている新製品もあります。

        独自の「コア技術」だけで成り立っている新製品は、ほとんどありません。
        多くの場合、既存技術の組み合わせによって成り立っているといっても
        過言ではありません。

        以上のことからも、新製品開発において既知の技術に関する情報の整理が、
        重要な役割を占めているということがお分かりだと思います。

         「パテントマップ」は、このような既知の情報をシステマティックに
        整理する方法として有効な手段の一つです。
        しかも、パテントマップの作成は調査研究ですから、
        ハードの実験や試作を伴う研究開発費用に比べて、
        お金もほとんどかかりませんし、やり直しも簡単にできます。

         パテントマップを作成するにあたっての手順は

        〔1〕対象となるパテントを数千件選び、件数や発明者数を時系列的に整理し、
          技術の黎明期・成長期・成熟期・衰退期を見極めます。

        〔2〕自分たちがやろうとしている領域の技術に関係するパテントを
          数百件程度に絞込み、いろいろな切り口でパテントを読み込み
          新しい発見や発想に結び付けます。

        〔3〕テーマを確定し、障害となりそうなパテントを徹底的に絞り込み、
          権利の状況を正確に把握しトップマネージメントに報告します。

         3ステップの中でも、第〔2〕ステップの「発想の転換」の部分が
        最も重要で、開発グループの総力をあげて取り組まなければならない部分です。
        開発リーダーのリーダーシップの見せどころでもあります。

         さらに、第〔3〕ステップまで進むと、パテントマップは
        技術情報としてだけでなく、権利情報・企業情報として
        貴重なマネージメント情報となります。


         知的財産分野で有名な「丸島儀一氏」は以下のように話されています。

         知財(知的財産)は事業を伸ばすためにある。
        企業は創造性豊かな研究開発と知財によって、事業を強くすることが基本だ。
        「知財を売却するのが目的」というベンチャー企業のような
        特殊な例は別として、
        一般の企業は「知財で収益を上げることを考えるな」と・・・。

         本日は、「成功確率を上げる新製品開発の方法」についてお話ししましたが、
        技術開発を正当に進めることによって、マネージメント能力の備わった
        技術者の養成も可能だということが、お分かりいただけたでしょうか?

        最近、MOT(マネジメント・オブ・テクノロジー/技術経営)講座が
        もてはやされていますが、OJT(オンザ・ジョブ・トレーニング)でも
        技術経営者を育てられることを、私は提唱したいと思います。

                         
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