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      研究開発リーダーの参考書01

      優秀な新入社員には軽い仕事をたくさん与えよ

          あなたのグループには新入社員が配属になりましたか?
         めったに新人を回してもらえないグループでは、新人に対して
         異常な期待を抱くのが普通ですが、これは禁物です。
         将来の幹部に育てるつもりならば、第一線の重要な仕事を
         「決して」与えてはいけません。
         企業においては「優秀な新入社員」は(≒偏差値の高い学校の出身者で、
         入社試験の成績も抜群、ついでにTOEICの成績も
         700点台というような)たいていの場合大成しません。

          配属する人事部門もいけないのですが、「そちらの開発チームは
         会社の将来を担っているから、特別に優秀な人材を回しました、
         慎重に扱ってくださいね」などと念を押すものですから、
         悲劇が繰り返されるのです。

          グループリーダーのあなたなら、すぐに理解できると思いますが、
         重要な仕事を与えるということは、あなたが頻繁に彼の仕事を
         チェックするということになります。
         当然ですよね、このグループの命を左右するような内容を
         (いくら優秀だからといっても)新入社員に100%任せるわけには
         いきません。
         一方、偏差値の低い新入社員は、あまり期待もされず「手伝い仕事や、
         寸断された半端な仕事」を与えられることになります。

         ところが、よくよく考えると「半端」な仕事はチェックも甘くて、
         たいていの場合は任されており、結果報告をする程度で事足ります。
         大成する人は、この「任された」という部分を十二分に利用し、
         自立心を養って最終的には大成功するということのようです。

          突然有名になった、ノーベル化学賞を受賞した「田中耕一」さんを
         分析してみましょう。
         彼の所属する(株)島津製作所は、計測機器や医療機器を
         開発・製造・販売している会社です。
         すなわち、「機器の開発」がメインストリームの仕事です。
         ところが、彼が受賞したのは「ノーベル化学賞」で、機器そのものの
         成果ではありません。

         機器の開発をメインストリームと考えるなら、試作品の評価という傍流の
         仕事を担当していたことになります。
         彼が優秀であったことは疑う余地もないと思いますが、それより重要なことは
         彼が腐ることもなく、先輩たちが開発した試作品の性能試験を
         忠実にこなしていたと思われることです。

          田中耕一さんに関して見逃してならないポイントは、
         「気持ちが萎えるであろう仕事」を担当させられていたにも関わらず
         ノーベル化学賞を受賞したというところでしょう。
         新入社員にすぐに任せられる仕事は、100%といっていいほど
         メインストリームから外れていることでしょう。
         そのような仕事であっても「将来、君のためになる」と、
         本気で伝えることのできる仕事を与えることのできる
         「開発リーダー」になって欲しいと念願します。

          田中耕一さんの入社当時の開発リーダーは、人づくりの名人でだったと
         想像できます。
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