6回  MOT感覚こそ研究開発リーダーに必要なもの               目次へもどる

 MOTManagement of Technology)は日本語で「技術経営」と訳されています。1980年代に米国のマサチューセッツ工科大学で開始された教育プログラムが語源といわれています。定義についてはいろいろな解説がありますが、スタンフォード大学のSRIStanford Research Institute)の定義「技術投資の費用対効果を最大化すること」が、単純明快で分かりやすいと思います。
 ヨーロッパの有名なビジネススクールである国際経営開発研究所(IMD)が発表した2008年の世界競争力ランキング(World Competitiveness Yearbook)で、日本は22位でした。企業家精神とか海外の考え方への開放度などが足を引っ張ったとのことですが、特許の件数や開発投資でトップクラスの日本がこのような評価を受けるのは、ビジネス効率の悪さが最大の原因ではないでしょうか。

 第3回に掲載した「ライト兄弟の研究手法」では、世の中の興味(市場の欲求と読み替えて頂くとよく理解できます)より、次世代に必要となる製品スペックに関する研究開発テーマを見抜く重要性をご説明しました。次世代製品の先取り開発を行うことは、結果的に研究開発投資のコストパフォーマンスを向上させることになります。

 日本の競争力を向上させるために、研究開発リーダーに課せられた第一の課題は、自分たちが担当しているチームの研究開発テーマの中で最も優先度の高いテーマを見抜く能力の向上と言えるのではないでしょうか。
 では、どのような観点で研究開発テーマの優先順位を決めればいいのでしょう。
 答えてくれるのがMOTの考え方(技術投資の費用対効果を最大化すること)だと思います。さらに企業の研究開発リーダーは、真の企業活動とは何かの理解が重要です。
 MOTのアウトラインをお知りになりたい方は、「研究開発者に、すぐ役立つ実践MOT(技術経営)」をお読みいただけると幸いです。

 世界でもトップクラスの技術力を持ちながら、追随する韓国・台湾に破れてしまったDRAM(半導体記憶素子の一種)ビジネスの例は、その時々で必要とする研究開発アイテムを間違えると、たとえ技術力で優れていても、結果的にビジネスで敗れることを如実に示しているといっても過言ではないでしょう。
 同じ過ちを繰り返すことのない研究開発活動を進めてくださることを祈念して、半年間のシリーズを終えさせていただきます。


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