5回  クラウドソーシングの利用方法               目次へもどる

イギリスでは「Two heads are better than one.」、ドイツでは「Vier Augen sehen mehr als zwei.4つの目は2つの目よりよく見える)」、そして日本では「3人寄れば文殊の知恵」と、一人の考えより複数で考える方が良い結果を得ることができるとの認識は世界共通のようです。

最近使われ出した言葉に、群衆の知恵(wisdom of crowd)を外部委託(outsourcing)するという意味の「クラウドソーシング(Crowdsourcing)」なる造語があります。社員や提携先の企業とだけで研究開発を進めるのではなく、インターネットを利用することによって社外の個人を参加させる研究開発手法のことです。

クラウドソーシングの仕組みは、委託元の企業が研究開発課題と条件(課題の詳細、報奨金、期日など)をインターネット上に公開し、課題解決に自信がある研究者が機密保持や知的財産の譲渡条件などを合意したのち、課題に対するソリューションを提供するというものです。
 2回でお話ししたプロクター・アンド・ギャンブル社は、クラウドソーシングがうまく機能して業績がアップしたといわれています。
 個人の知恵を借りたい企業(依頼者)とソリューションを提供する解決者を結びつける新しいビジネスも生まれています。

企業側からみると社内の何十人もの研究開発者に投じる資金よりも個人に支払う報酬の方がはるかに少なく、個人からみると企業の中の一員で働くより、はるかに多くの報酬を得ることができます。
 企業はクラウドソーシングを取り入れることによって、研究開発のかなりの部分を外注化することが可能となり、研究開発投資を大幅に削減することが可能です。
 しかし、クラウドソーシングの最も有効的な使い方は、冒頭述べましたように外部の意見を取り入れることによる相乗効果だと思います。
 すなわち、社内の研究開発者の意見や研究開発結果と、社外から募った研究開発者の研究開発結果や意見を比較あるいは合成することによって、より良いソリューションを得ることができます。
 もうひとつ重要なことは、アウトソーシングするためには欲しい情報を明確に定義しなければなりませんし、さらに欲しい情報を絞り込むためにも、あるレベルの研究開発を自社内で進めておかなければならないでしょう。

現在は必要な技術領域が広がり、一社で全てを賄うことが難しい時代になってきました。
 だからこそ他社との協業が多くなってきたわけですが、さらにクラウドソーシングのような手法を取り入れて、企業の選択肢を広げることによって、激烈な企業競争に打ち勝っていかなければならないのではないでしょうか。


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