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第7回 企業内における研究開発の位置付け
 
 ハーバード・ビジネススクールのマイケル・ポーター教授は、企業の競争力を明らかにするために「バリューチェーン」という内部環境分析手法を提唱しています。
 この手法は、企業が製品やサービスを顧客に提供する企業活動を、購買物流・製造・出荷物流・マーケティングと販売・サービスといった一連の流れの中で、価値とコストを付加・蓄積していくものととらえ、この連鎖的な活動によって顧客に届ける価値が生み出されるという考え方に基づいています。

 図に示すとおり、一連の流れを主活動と位置づけ、全般管理・人事労務管理・研究開発・調達活動を支援活動と位置づけています。このバリューチェーンの利用方法は、全体的にどのようになっているのかを把握するところから始めます。どの工程が価値を生み出し、どの工程で多くのコストを費やしているかを解析し、効率よく価値をあげるためにはどこを改善するべきか検討します。



 ここで最も重要なことは、技術開発が支援活動の項目に位置していることです。技術開発の最も重要な目的は価値の高い製品を開発することですが、それだけでは不十分で、バリューチェーン全体を見渡して各ステップで価値を向上させたりロスを減らしたりしなければなりません。
 例えば大きな機械を輸出する場合を想定します。大きな機械ですから性能試験を完了したあと、輸送のために機械を分解して運びやすい大きさにします。次に壊れやすい部品をしっかりと梱包します。運搬方法のところに大きな改善点が隠れていることがお分かりでしょう。

 企業の製品開発はコンペチターと差別化するために、新機能を付加することに多くの時間を割きます。
 このこと自体は非常に重要なことですが、開発した製品がお客様に届くまでに多くのステップがあることを認識し、どのステップで新しい付加価値をつけるのか、どのステップでコストを削減するのか、全体のバランスに気を配りながら研究開発活動に取組みましょう。