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第6回 特許の使い方
 
 特許制度の目的は「この法律は、発明の保護及び利用を図ることにより、発明を奨励し、もって産業の発展に寄与することを目的とする。」と、特許法第1章第1条に書かれてあります。
 目的から明らかなように、特許は産業(ビジネス)の発展に貢献して初めて価値がでるのであって、学術的な高さが要求される学術論文などとは異なります。さらに重要なことは発明を奨励する見返りとして一定の法的な保護が与えられていることです。

 特許はビジネス活動の重要な道具(ツール)ですから、特許本来の特長を生かした使い方をしなければなりません。すなわち長期的な視点に立って、企業が有する技術や事業の発展にどのように寄与できるかどうかを見極めなければなりません。
 特許のロイヤリティ収入の多寡や訴訟で勝ち取った賠償金などが話題になりますが、特許係争は金銭的にも人的にも膨大なコストを要します。
 例え訴訟に勝ってライセンス料や賠償金を得たとしても、それは短期的な収益にしかならず、長期的な観点からは創造性を欠いた作業にしかなりません。

 特許はビジネスで使うことによって価値が生まれてくるものですから、使われ方によって価値に差がでてきます。使う企業によっても異なりますし、どのような製品に使われるかによっても異なります。
 また所有している特許が一つなのか、あるいは関連特許を所有しているのか否かによっても異なります。
 最近は一つの製品が一つの技術で成り立っていることは少なく、複数の技術が複雑に入り組んでいます。すなわち単独の発明や特許で事業化に至ることはほとんどなく、数多くの特許を組み合わせる必要があります。このような背景から1社で全ての技術を用意することが難しくなりつつあり、単純な(1件ごとの)クロスではなく、「パッケージ・クロスライセンス」が主流になってきました。

 事業を成功に導くためには、単独の研究者のみに頼るのではなく、複数の研究開発者はもちろんのこと、事業にかかわる全員が協力しなければなりません。このような観点からも特許の発明者だけが大きく評価されるべきではありません。