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第5回 共同開発契約と機密保持契約
 
 限られた経営資源の中で効率的に研究開発を進める手法として、お互いの得意技術を出し合って進める共同開発は、企業にとって重要な経営戦略の一つです。
 ところが、共同開発そのものが研究開発行為のため、共同開発契約の中に盛込まれるべきビジネスのことが後回しになることがあります。

 加工が難しい特殊な材料を機械メーカーと一緒になって加工方法を共同開発した場合、材料が売れるのに伴って加工機も売れますからお互いにハッピーな関係ですが、例えばデバイスメーカーと装置メーカーの間で従来の数倍も能力のある加工機を共同開発した場合はどうでしょう。
 装置メーカーは開発した装置をどんどん販売したいのですが、デバイスメーカーはコンペチターを引き離すチャンスですから、他社に装置を売って欲しくありません。

 また共同開発を行う場合、他社には知られたくない機密事項も話し合うことになりますから、一般的には機密保持契約(Non Disclosure Agreement/NDA)も結びます(共同開発契約の中に機密保持契約を含める場合もあります)。
 NDAには、共同開発が終わった後3年間とか5年間の機密保持期間を設定するのが一般的です。
 共同開発契約の中にビジネスの取扱が触れられていないと、ハッピーな関係だと思われた材料メーカーと機械メーカーの間でも問題が生じます。
 例えば、お客様から商品に関する技術的な質問を受けたとき(NDAで縛られている内容に関しては)「えー、あのー・・・」と曖昧な応答をしなければなりません(ここで説明してしまうと機密漏洩になります)。

 自社独自で研究開発をスタートするときは、事業化の目処がたってからビジネスの詳細を考えても遅くはないのですが、共同開発の場合はビジネスのための開発戦略の一環であることを十分認識し、事業化の道筋をしっかりと見定めてからスタートしましょう。