目次へもどる

第4回 サプライチェーンと研究開発
 
 原材料や部品の調達から製造、流通、販売という、お客様に商品をお届けするまでの一連の流れを「供給の鎖(サプライチェーン)」といいます。企業活動は、上記の「主務業務」と企画・人事・経理といった「支援活動」から成り立っています。
 では、研究開発業務はどちらに属しているのでしょう。製品設計しなければ製造できませんから、研究開発は主務業務のように思えますが、実は支援活動グループに位置づけられています。

 分かりやすい例としてアパレルメーカーのベネトンのお話をしましょう。ベネトンは、妹さんが編んだセーターをお兄さんが近所に売ることからスタートした企業で、お兄さんの経営センスもさることながら、妹さんの卓越したデザインセンスによって世界中に店舗を持つ国際企業になったといわれています。
 ところが、いくらセンスのいい妹さんとはいえ、色の流行を予測するのは至難の業だったようです。このことを知ったベネトンの技術者たちは、お客様の反応を見てから色を決めるという経営課題を技術で解決しました。

 セーターは糸の段階で色を染めたあと編んで仕上げます。お客様の好みがわかる頃には糸の染色は終わっているため、色の予想が外れると糸が無駄になるだけでなく出荷までに時間がかかりすぎます(ビジネスチャンスを逸する)。
 そこで白の糸でセーターを編んでおき、あとで染めることにチャレンジしました(染色工程を後にする)。セーターを染めるには、胸や背中の広い部分と脇の下のように狭まった部分をムラなく染めなければなりません。この難題をベネトンの技術者はクリアしたのでした。

 テーマの探索活動において、世の中の研究開発の動向調査からスタートする場合がよくありますが、これではロスが多すぎます。企業の研究開発テーマの設定は、企業が必要とする経営課題の理解からスタートすべきです。
 経営が要求するテーマを研究開発課題に具現化し、その課題解決のために世の中のシーズ(種)を探索するといったやり方のほうが、ずっと効率のいい研究開発活動だと思います。